絵本がもたらす”魔法の効果”

8.洞察力と生きる力を育ててくれる ("魔法の効果"シリーズ最終回)


 −絵本を通して子供達が手に入れるもの・・・洞察力と生きる力


絵本も長いものになると(⇒このダイアリー下【番外編】参照)、様々な奥深いテーマを扱います。たとえば人間の感情の豊かさ、感性の素晴らしさ、命の尊さ、自然の豊かさ、世界の広さと多様性、時代の流れや変化etc・・・・キリがないほどです。でも、そのような素晴らしい絵本から私たちが学びとるもの決して知識自体ではありません。子供は表面的な知識ばかりを身に付けて成長したなら頭でっかちの面白みのない人間になってしまうでしょう。本当に絵本から学びたいのは、絵本が描き出す人々の多様な感性や強い意志をもった生き方に共感することによって身につく、ものごとの表面の裏側に隠されたダイナミックな背景構造や深い内面を察する洞察力です。この洞察力は子供達がこれから情報洪水の中で生きていくために、きっと強い味方になってくれるでしょう。


現代の日本の子供達を取り囲む環境は、情報氾濫、物質的な豊かさ、無宗教状態です。そんな環境で子供たちは何を生きる目的に生きたらいいのでしょうか?競争社会での勝利も、見栄も空しく・・・本当の目的を見つけることが困難な状況で、誰かが手を差し伸べ導いてあげなければ、子供たちはきっと無気力な迷える子羊になってしまうでしょう。私たち親の世代だって、既にそれに近い状況で育ってきて、いかに生きるべきかを見失い立ち止まってしまうことばかり。だからこそ、これから成長していく子供達には素晴らしい絵本との出会いの中で身に着けた洞察力によって、迷いを超えた向こう側に、心豊かな人生を見出すことのできる生きる力を手に入れて欲しいと思います。幼い頃にママやパパと一緒に絵本を楽しんだ温かい思い出は、きっと子供たちが長い人生を力強く生きていく中で大きな心の糧でありつづけることと信じています。
(絵本がもたらす”魔法の効果”シリーズ《完》)