絵本がもたらす”魔法の効果”

  5.感性を磨いてくれる


-感性とは?


感性ってよく耳にする言葉ですが、なんでしょう?その定義を厳密にしようとすれば、と〜っても難しい哲学の話になってしまうでしょう。そこで私の場合は、思い切って人間が五感(視覚・聴覚・味覚・触覚・嗅覚)を通して感じた感覚を受け入れて更に心の第六感で感じる力と考えます。こういうと、怪しげな神秘主義か神霊主義のようですが、感性は日常的にフル活用している感覚です。例えば、嬉しそうな表情を作って話している友達が、内心はすごく落ち込んで疲れているのが感じる事がありませんか?ちらっと表情を交わしただけの初対面の人が、自分に好意を持っているのを確信したりってことありませんか?また、自分の内面に対する感覚でいえば、理屈で納得していることをどうしても気持ちが受け付けないなんていうシチュエーションあるでしょう?(ストレスですね。)いずれも科学では説明できない現象を、直感(=感性)で感じ取ってしまっているのでしょう。もしこの感性のコミュニケーションをなおざりにしてしまったなら、感性を通した人間関係は成り立ちません。たとえ多くの仲間や家族に囲まれていたとしても、癒しがたい孤独を感じてしまうのです。


感性で感じる現象ってなんでしょうか?それは、目に見えない”気”のようなものです。”気”とは例えば気迫の”気”であり、気配の”気”です。気迫のある様子とは相手の六感に訴える”気”を多く放っている様子、”気配を感じる”とは六感で誰かの放っている”気”に気付くことなのです。あらゆる人間の創造物も”気”を放っています。それは、言葉であったり、物であったり色々です。皆さんの経験でも、一行のメッセージの中に発信者の優しい人柄を感じたり、お母さんの料理の味に優しさを感じたりということがあるでしょう。それは創作者が込めた”気”を感性で感じているのです。芸術作品など、多くの人々を感動させたり癒したりする創作物は、感性豊かな作家によって込められた”気”を放っているのです。


”気”は人間だけに関わるものではありません。地球全体の自然すべてがこの"気”を内包し、そのバランスで成り立っています。(上記の人間関係の感性バランスはこの縮図に過ぎません。)感性を磨いた人は、人間や創作物が発する”気”を感じ取るだけでなく、自然界が作り出す”気”のダイナミックなバランス世界を体感する出来ます。でも、こんなのは高尚な芸術家さんだけの仕事と思われるのでは?いいえ、例えば自然の風景を見て癒されるのは自然に内包されている”気”を感じているからです。また、都会育ちで自然の風景を好きでない人でも、心を開いて感性の織り成す世界を探す気持ちにさえなれば誰でも気付くことが出来るはずです。何故って人間だって本来地球の自然の一部であり人間の身体自体も自然の感性バランスで成り立っているのですから、糸口は意外と自分自身の中にあるかもしれません。多くの現代人が心に抱える孤独(これが相次ぐ凶悪犯罪の原因になっているのかも)は感性のバランス世界と自分との繋がりを感じる感性を磨くことによって初めて本当に癒されるのではないかと思っています。


-子供の感性について


どんな子供も小さいうちはそのままで感性がとても豊かです。それは物や情報に囲まれて感性を見失いがちな大人に比べると、自然の状態に近いからなのかもしれません。まだ言葉がうまく使えない子供とも、ジェスチャーや表情などで感性のコミュニケーションを取ることが出来ます。もし子供の感性が発する信号(”気”)を、ママやパパが無視したり軽視したりすれば子供は敏感に受け取ってしまい身体のバランスを崩すなどの不調を起してしまうかもしれません。だからママやパパも感性を磨いて子供の信号を受け止めてあげたいですね。


-絵本が感性を磨いてくれるとは?


絵本は子供向けに書かれているので、子供の感性に直接訴えることを目的としています。言葉と絵を統合して、感性豊かな作家によって織り込まれた”気”を読者の心にとてもダイレクトに伝えてくれます。多くの人に親しまれている絵本には、外国の翻訳作品も沢山あります。それらは時代や文化や環境の違いを軽々と超えて子供の感性に響き、心を揺らします。


感性豊かな作家の作品のよさを十分に引き出すには、読み聞かせするママやパパも絵本を味わいながら感性を磨いてください。絵本が内包するものは読み聞かせる大人によって十分に感じとって再現されることによって、スムーズに子供に伝わります。そのスムーズな循環によって生まれる親子の感性コミュニケーションが、子供の感性を磨きます。そしてテレビのスピーディな刺激に親しんできた子供にも、絵本を読みながら親子でゆったりと過ごす時間の心地よさを教えてあげたいですね。



【ご紹介=絵本(4歳〜)】『こいぬのうんち』
作者クォンジョンセンは日本生まれの韓国人(韓国在住)です。子犬の”うんちくん”の短い人生を描かれています。”うんちくん”や”土くれ”まで心を持つという設定がユニーク。もっぱらの韓流ブームですが、絵本も独特でなかなか面白いものがあります。

こいぬのうんち

こいぬのうんち

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