養老猛司さんの講演会に行ってきました
なんで養老さん?・・・っていうと、私の働いている会社の関係でタダで聞けるというので、興味本位に今晩参加してきました。テーマは『今、環境を考える』だったんですが、ご自分の好きなテーマをしゃべられただけの感じでした。
友達と話を合わせるために話題になった『バカの壁』はちょっと前に読んでいて、雑学的に情報に流される現代日本人像に注目する基本的姿勢はかなーり近いものを感じたものの、全体の統合性が欠けているなぁっていう印象だったんです。最終的に何が言いたいのかを一言で言えないという感じ。講演会で実際にお話を聞くと正にこの統合性欠如部分があまりに顕著で、質疑応答でつっこんでやろうかと思ったんですが、ギリギリまでしゃべって言い逃げでした。(笑)その矛盾っていうのは例えば、自分は本をたくさん出版してるにも関わらず、情報は人間の体内環境のバランスを崩す原因だから不要で、本なんか読まなくていいと言い放ったり。都市化した人間病理や人間体内環境と自然環境のバランス関係について詳細まで語りながら、だからってどうしたらいいかっていう話題になると中途半端だったり。多くの現代人が悩んでいるのはその迷いの出口の見つけ方が分からないからなのに!迷える現代人を”バカ”と否定することで止めるのではなく、まずその迷いある姿を肯定した上で、その向こう側を共に模索する態度が欲しい!・・・と思うのは私だけでしょうか?(養老さんご自身が好んでらっしゃる仏教の世界こそは、この否定なき世界なのではないでしょうか。)

バカの壁 (新潮新書)

バカの壁 (新潮新書)